当サイトにおいて、小説や文章の練習法をご紹介していますが――
※こちらをご参照ください。
→小説の練習法（ラベル）
練習というのは日々の積み重ねです。
そのため、どうしても「毎日おなじことの繰り返し」という状態がつづくことになります。
今回は、「おなじことの繰り返し」によって挫折してしまうことがないように、
「飛躍点（ひやくてん）」
についてお話しいたします。
地道な練習の繰り返し――その努力はかならず報われる
僕の父は、哲学者でした。
専門はヘーゲル哲学――
ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル（1770年～1831年）はドイツの哲学者で、「弁証法(べんしょうほう)」を説いた人物として知られていますね。
生前、父は西洋哲学の専門知識がない僕にもわかるように、ヘーゲル哲学の理論をわかりやすく説明してくれたことがあります。
これからお話しする「飛躍点」は、父から教わったことがもとになっています。
飛躍点を理解して、継続する意欲を身につける
『量(りょう)』を積み重ねていけば、それはやがて『質(しつ)』に変化します。
この『量』から『質』に変わるポイントを「飛躍点」と言います。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
水を例に考えてみましょう――
水は、通常の状態では「液体」です。
水に熱を加えていきます。
熱を加えても、しばらくのあいだは液体のままです。
ですが、熱を加えつづけていると、あるポイントを境に水は蒸発をはじめ、液体から「気体」へと変化します。
つまり、100℃を境にして、沸騰がはじまったのです。
この「液体」から「気体」への変換が起こる100℃という沸点――
ここが、水の「飛躍点」です。
逆に、水を冷やしたときを考えてみましょう。
冷やしても、しばらくのあいだは液体のままですが、０℃を下回ったときから水は「固体」へと変わっていきます。
この「液体」から「固体」への変換が起こる０℃という氷点――
ここもまた、水の「飛躍点」になります。
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地道に『量』を積み重ねていると、それはやがて『質』に変化します。
人の能力に関することの場合は、この法則が顕著(けんちょ)にあらわれます。
毎日、おなじことを積み重ねていると、ある日（もしくは、ある瞬間）を境に、いままでよりも上手に、楽々とできるようになります。
それは、地道に積み重ねてきた努力が「飛躍点」に到達し、能力の『質』が変化したからです。
人の能力というのは、このようなかたちでレベルアップすることがよくあります。
つまり、
毎日練習をしたら、毎日そのぶん少しずつ上達するのではなく、
毎日やっても何も変わらなかったのに、つづけていたらある日とつぜんレベルアップする――
ということです。
何も変わらないように思えても、練習をつづけていれば、かならずうまくなる！
毎日おなじ練習をつづけていると、
「なかなか進展しない」
「いつまで経っても上達しない」
「毎日こんなにがんばっているのに何も変わらない」
そう感じて、あせりや不安をおぼえることがあります。
ですが、そこでやめてはいけません。
引き返してもいけません。
毎日、地道に積み重ねることは、水に熱を加えるのとおなじことです。
たしかに、いつまで経っても変わらないように見えるかもしれません。
ですが、見た目には変化がなくても確実に「飛躍点」に近づいています。
やがて、あなたは「飛躍点」に到達します。
そして、サナギから蝶へ変わるかのように、華麗に進化を遂げてレベルアップします。
小説や文章の練習は地道すぎて継続が容易ではない――だからこそ「飛躍点」を理解して努力をつづけよう
「飛躍点」という言葉は、正式な哲学用語ではなく、父がつくった言葉かもしれません。
ですが、「転回点」や「質量転化」という名称よりもポジティブな響きが感じられるので、当記事においても父から受け継いだ「飛躍点」という言葉を使っています。
＊
練習というのは、地味なものです。
そして、小説や文章の練習というのは、体をはげしく動かすスポーツの練習よりも、さらに地味です。
毎日つづけていても効果を実感できずに、心が折れそうになることもあります。
そんなときは、「飛躍点」を思いだしましょう。
何も変わっていないように見えても、積み重ねることによって、着実に飛躍点へと近づいている――
そう思い返して、もう少し、あとひとふんばり、努力をつづけてみましょう。
きっと、いいことがありますよ。
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更新
2019年６月５日 ラベルに「生き方、自己啓発」を追加。