2018年2月11日日曜日

小説の執筆をする (本条克明の小説作法5)


 今回は、僕の「小説の創作法」の5回目として、
「執筆(本編の文章を書く)」
 についてお話しいたします。

1回目から読む場合は、こちらの記事をご閲覧ください。
小説のモチーフを得る (本条克明の小説作法1)


物語の執筆をする


 執筆には、ワープロソフトの『一太郎』を使っています。
 現在は、2013年度版で執筆をしています。
『一太郎』は、株式会社ジャストシステムによる開発・販売の日本語ワープロソフトです。


 一太郎に慣れてしまうと、ほかのワープロソフトはもう使えないよなぁ。
 いまや「仕事道具」というより、「バディ(相棒)」って感じです(笑

 執筆をするときは、黒い画面に淡いグレーの文字で書いています。

[表示]→[画面表示設定]→[イメージ編集]を選択し、「色の設定」のところで背景色や文字色を設定できます。
(ドラフト編集画面で執筆をしている場合は、[表示]→[画面表示設定]→[ドラフト編集]を選択し、「色の設定」のところで背景色や文字色を設定)


 いろいろと試してみた結果、僕の場合は、執筆を長時間つづけてもいちばん目が疲れなかったので、この色設定で書いています。

 背景色が黒いので、光量をおさえられます。
 黒い背景に明るい色の文字で書くため、文字が大きく感じられて見やすくなります。
白などの明るい色は膨張色と言われています。
環境によって、黒の背景色は画面が鏡面化することがあります。


 とまあ、僕の場合はこのような環境設定で執筆をしているのですが……
 前置きはこれぐらいにして、そろそろ本題にはいります(笑


執筆のやり方(本条克明の場合)


 まずは、<第一稿>です。
 白紙の状態から文章を起こす段階です。
 エネルギーを使いますので、気合いが必要です(笑

 机に向かったら、まず準備からはいります。
 設定表やプロットを読み返します。
 いまから書くことについて、頭のなかで整理をしておきます。
 スポーツ選手でたとえると、試合直前の準備運動のようなものです。


 準備が整い、執筆に対する意識が高まってきたら、書きはじめます。

 第一稿では、
  • 速く書く
  • 立ちどまらない
 この2点を厳守して書いていきます。

 第一稿では、スピードが最優先です。
 言葉を選んだりしません。
 最初に思い浮かんだ言葉を、そのまま採用して書きます。

 言葉に詰まったら、そこは赤字で〈保留〉と書いて飛ばします。
 シーンがうまく思い浮かばないときも〈保留〉にして飛ばします。
 少しでもとまりそうになったら、そこは〈保留〉にして、書けるところからどんどん書いていきます。



 速く書くことを心がけると、「自分の言葉」で文章を書くことができます

 僕は以前に、
「『自分の言葉』って、なんだろう?」
 と自問自答をくり返し、
「おそらく、最初に思い浮かんだ言葉が『自分の言葉』なんだ」
 と思い至りました。

 そのため、第一稿では言葉を選ばずに、最初に思い浮かんだ言葉をそのまま書くようにしています。

 あとで推敲(すいこう)をおこなって文章の練り直しをしますが、全編をとおした『文体』は、第一稿で決まります。
 文章に「自分らしさ」をだすためにも、言葉を選ばずに、速く書くことを心がけます。


 ひととおり書き終えたら、<第二稿>に移ります。

 第一稿を最初から読み返し、〈保留〉のところを穴埋めしていきます。
 第二稿は「穴埋め作業」です

 書いているときにはいくら考えても思いつかなかった言葉が、
「全体ができあがっているなかの穴埋め」
 というかたちになると、不思議なことに、しっくりくる言葉や表現がスムーズに思い浮かんできます。

 最後まで「穴埋め」が終わったら、執筆は完了です。


2段階方式のほうが速く書きあげることができる


 僕の場合は、
 第一稿(速筆) →  第二稿(穴埋め)
 という2段階で執筆をおこなっています。

「2段階で書くのって、時間がかかるんじゃないのか?」
 そう疑問に思った人もいるかもしれませんが……

 僕の場合は、この書き方のほうがずっと速く書き終わります。
 とまっている時間がないからです。
 つねに「書いている」か、「穴埋めをしている」か、そのどちらかですので、執筆がずっと進行しています。
 結果的に、速く書きあげることができます


 また、
「最後まで書きあげることができずに、未完に終わってしまう」
 というケースの多くが、行き詰まっている時間が長いことによって起こっています。
 とまっている時間が長いと、モチベーションが低下して、そのまま挫折してしまうことがよくあるんですね。

 ですが、
 第一稿(速筆) →  第二稿(穴埋め)
 という書き方をすると、とまることなく執筆しつづけることになりますので、最後までモチベーションを維持しやすくなります。
 作品を完成させられる確率が、格段に高くなります。


「書く喜び」がなければ、小説の執筆じゃない


 ここでご紹介した執筆の方法は、あくまでも「本条克明の場合は」という書き方なのですが、

  • なかなか筆が進まない
  • 遅筆だと言われる
  • 最後まで書きあげることができず、いつも未完に終わってしまう
  • 「自分の言葉」で文章を書きたい

 という人には、参考になるところが多々あると思います。

 書くことが苦痛であるのなら、小説を書く意味がありませんからね。

 作家自身が夢中になりながら、最後までモチベーションを維持して楽しく執筆する――
 小説の執筆は、やっぱりそうあるべきですよね(笑


本条克明の小説作法
小説のモチーフを得る(1)
小説の世界観・舞台を設定する(2)
小説のキャラクター(登場人物)を設定する(3)
小説のプロットを仕上げる(4)
小説の執筆をする(5) 当記事
小説の推敲・校正をする(6)

「自分の言葉で書く」については、こちらをご参考ください
『自分の言葉』で書く能力を養う文章練習法


更新
2018年8月21日 『自分の言葉』で書く文章練習法 へのリンクを追加。
2020年1月4日 黒い画面の鏡面化に関する記述を追加。
2024年1月7日 リンクを一部削除。